古い家の窓をDIYで内窓にリフォームしている、ブログ管理人の木葉らんです。
内窓に使われるガラスの種類は、その目的や要件によって異なりますが、一般的に以下のような種類があります。
内窓にするガラス選びで、単板ガラス・複層ガラス・Low-E複層ガラスが主に挙げられます。
さらに三層トリプルガラスや、防犯性の高い割れにくく飛散しにくい防犯合わせガラスなどグレードの高い選択肢があります。
単板ガラスは1枚ガラスのことです。
窓の種類によって、ガラスの種類を採用できるものとできないものがあります。
窓とガラスの種類の違いはパッとイメージしにくいのですが、以下の通りです。
【窓の種類】…引き違い窓(偏芯)・FIX窓・内開き窓・開き窓テラス
【ガラスの種類】…単板ガラスの場合/透明ガラス(3mm・4mm・6mm)・型ガラス4mm・和紙調ガラス(3mm・5mm)安全合わせガラス
ここではYKKapプラマードUの『単板ガラス』について、詳しく説明していきます。
窓の種類
窓にも色々な種類があって、開口部の大きさによって選べるものや、窓なのに開口しない窓もあります。
最初に、色々な窓の種類について学んでみてください。
引き違い窓(偏芯)・FIX窓・内開き窓・開き窓テラス
引き違い窓 2枚建
引き違い窓は左右のガラス障子をスライドして、窓を開閉します。
2枚建はどちら側も開閉できる、一般的な窓です。
一番多く使われている窓ですよね。
引き違い窓 3枚建
3枚建は開閉3タイプのバリエーションがあります。
下図は突合せタイプ(外・内・内)で、左側のガラス障子が外窓側(奥)にあります。
中央と右側のガラス障子は室内側(手前)にあり、2つが突合せた状態になっています。
クレセント錠は1か所のみで、スライドさせたときに室内側のガラス障子が左方向に移動します。
中央のガラス障子1枚だけでも左方向にスライドできますし、2枚一緒に左方向にスライドさせることもできます。
つまり、窓枠の左・中央・右のどこでも開口することができるというわけです。
ただし、※両袖タイプに関しては、中央部のガラス障子のみを単独で左右に動かすことは出来ません。
引き違い窓 4枚建
4枚建は4枚のガラス障子があり、中央が突合せ部分になっています。
クレセント錠は左右2か所あります。
室内側のガラス障子を左右に開くことで、中央部分が大きく開口できます。
突合せ部分を開くと大開口ですね!
引き違い窓偏芯
偏芯2枚建は左右の障子の大きさを変えたり、正勝手(左)タイプまたは逆勝手(右)タイプを変えることができる窓のことです。
偏芯4枚建は、すべての障子の大きさを変えることができます。
偏芯というのは、左右対称とは違い中心部分から偏っていることです。
FIX窓
FIX窓は、普段開口をしないことが前提です。
掃除のときは外れ止めねじを外して、ハンドルを使って障子部分を取り外すことができます。
採光目的で開口しないFIX窓は、断熱性能や耐久性が高い利点があります。
内開き窓
内開き窓は一般的な内開き窓に比べてレールがないため、隙間が生まれにくく断熱性能に優れています。
操作のしやすい樹脂製のカムラッチハンドルで、内側に開閉します。
障子が簡単に外れないように外れ止めが装備されており、安全にも配慮しています。
開き窓テラス
開き窓テラスは、鍵が付いていませんので必要なら外付けで鍵をつけることになります。
リビングや寝室など室内扉の用途で使うことができます。左右開きに対応しています。
握りやすく操作のしやすい形状のレバーハンドルが装備され、素材は暖かみのある感触の樹脂製を採用しています。
特定の部屋を快適にしたいなら、部屋のドアも変えると効果絶大!
ガラスの種類
ここからは、単板ガラスに採用されているガラスの種類についてみていきましょう。
透明ガラス(3mm・4mm・6mm)・型ガラス4mm・和紙調ガラス(3mm・5mm)・安全合わせガラス
透明ガラス
透明ガラスは3mm・5mm・6mmの3種類から選ぶことができます。
例えば引き違い窓の2枚建であれば、ガラスの厚みは3種類からどれでも選ぶことができます。
透明ガラス厚 | 3mm | 5mm | 6mm |
引き違い窓 2枚建 | 〇 | 〇 | 〇 |
引き違い窓 3枚建 | 〇 | 〇 | – |
引き違い窓 4枚建 | 〇 | 〇 | 〇 |
引き違い窓 偏芯2枚建 | 〇 | 〇 | – |
引き違い窓 偏芯4枚建 | 〇 | 〇 | – |
FIX窓 | 〇 | 〇 | – |
内開き窓 | 〇 | 〇 | – |
開き窓テラス | – | 〇 | – |
型ガラス
単板ガラスの型ガラスは、ガラスの厚みは4mmになります。
型ガラスは、片面に凹凸の模様をつけたガラスです。
光を通しながら視線を遮ります。
型ガラスの4mmサイズは、すべての窓の種類に対応しています。
型ガラス厚 | 4mm |
引き違い窓 2枚建 | 〇 |
引き違い窓 3枚建 | 〇 |
引き違い窓 4枚建 | 〇 |
引き違い窓 偏芯2枚建 | 〇 |
引き違い窓 偏芯4枚建 | 〇 |
FIX窓 | 〇 |
内開き窓 | 〇 |
開き窓テラス | 〇 |
和紙調ガラス
単板ガラスの和紙調ガラスは、ガラスの厚みが3mmと5mmになります。
和紙柄模様など、和紙の風合いを表現したガラスのことです。
組子と合わせることで和障子の趣きを演出します。
透明ガラス厚 | 3mm | 5mm |
引き違い窓 2枚建 | 〇 | 〇 |
引き違い窓 3枚建 | – | – |
引き違い窓 4枚建 | 〇 | 〇 |
引き違い窓 偏芯2枚建 | – | – |
引き違い窓 偏芯4枚建 | – | – |
FIX窓 | 〇 | 〇 |
内開き窓 | 〇 | 〇 |
開き窓テラス | – | – |
和紙調ガラスは、引き違い窓の3枚建・偏芯2枚建・偏芯4枚建・開き窓テラスには対応していません。
安全合わせガラス
安全合わせガラスは防災・防犯に配慮したガラスのことです。
単板ガラスでは透明ガラスになります。
ガラスの弱点は、軽い衝撃や圧力によってかんたんに割れてしまうことです。
下記のハンマーによる破壊実験で明白のように、単板ガラスはガラスが割れています。
安全合わせガラスのほうは、貫通することなく破片がほとんど飛び散りません。
2枚のガラス(3mm)の間に弾力性のあるフィルム30mil(0.76mm)を挟み込むことで、破壊しにくくなっています。
安全合わせガラス(透明ガラス) | 3mm+30mil+3mm |
引き違い窓 2枚建 | 〇 |
引き違い窓 3枚建 | 〇 |
引き違い窓 4枚建 | 〇 |
引き違い窓 偏芯2枚建 | 〇 |
引き違い窓 偏芯4枚建 | 〇 |
FIX窓 | – |
内開き窓 | – |
開き窓テラス | – |
単板ガラスの快適性能
この表は、「外窓のみ」と「外窓+内窓(単板ガラス)」との快適性能の比較です。
※参照:マドリモ内窓プラマードU 商品カタログ P22
【快適性能】 | 紫外線カット率 | 【断熱】 熱貫流率 | 【断熱】 日射熱取得率 | 【防露】 結露発生の外気温 |
外窓のみ | 26.1% | 6.51w/㎡・K | 70% | 10℃ |
外窓+内窓:単板ガラス | ①45.4% ②99.9% | 3.23w/㎡・K | 58% | ガラス周辺部0℃ ガラス中央部-2℃ |
一般的な単板ガラス(アルミサッシ)の外窓のみが設置されている家の快適性能が、上段の数値になります。
そして同じ条件の外窓に、単板ガラスの内窓を取付けた場合、下段の数値になります。
内窓の効果は数値にあらわれていますね。
具体的に数値の比較をしていきます。
紫外線カット率(%)
紫外線カット率は、数値が小さいほど室内に紫外線が通過してしまいます。
外窓のみなら紫外線カット率26.1%で、紫外線が通過しやすいです。
窓際にいると日焼けをしてしまいます。
通常はカーテンやブラインドなどで、日よけ対策をしたほうが無難です。
断熱:熱貫流率(w/㎡・K)
熱貫流率は熱の通りやすさを示し、高断熱の家かどうかをはかる指標でもあります。
夏の暑さは屋外から窓や壁を伝って侵入し、冬の寒さは室内の暖かい空気が窓や壁を伝って放出されています。
内窓をつけると厚い壁ができるので、数ミリの厚みしかない外窓よりは断然熱は通りにくくなりますね。
この熱貫流率は数値が低いほど熱が通りにくいので、内窓を取付けたほうが断熱性能は高くなります。
窓は家の中で最も薄くて、断熱不足の場所です。
遮熱:日射熱取得率(%)
日射熱はガラスを通過して室内に入射した日射熱が、室内側へ流入する割合のことを言います。
数値が大きくなると日射熱が室内に通過するということなので、遮熱ができていません。
外窓のみの日射熱取得率はなんと70%、猛暑日なら日射熱が室内にどんどん流入してしまいます。
窓を閉めてエアコン(冷房)を入れていても、なかなか冷えない家なんですね。
内窓があっても、58%も日射熱が室内へ入るのです。
内窓だけでなく、シェードやすだれなどと合わせれば、遮熱効果は上がります。
防露:結露発生の外気温
熱貫流率が高いほど結露が発生しやすいので、外窓のみは内窓がある場合よりも高温の10℃で結露が発生してしまいます。
寒冷地では零下になる時期が長いので、内窓があっても単板ガラスでは不十分といえるでしょう。
さらに高断熱になるガラスを採用したほうが、より快適に過ごすことができます。
まとめ
アルミサッシの単板ガラス1枚で生きてきた多くの日本の家は、断熱性能が著しく低いのは有名ですよね。
鍵までしっかりかけて、隙間はないはずなのに……
冷暖房を使っても、なぜか室内の温度が安定しません。
原因は、サッシの歪みや見えない隙間があるから、ということだけではありません。
大きなガラス障子を通して、熱移動が行われることによって夏の日差しが室内の温度を上げ、冬の冷たい外気によって結露を生んでいます。
ですが……
内窓を取付けるだけでも、ずいぶん快適に過ごすことができるようになります。
単板ガラスは厚みが3種類(3mm・5mm・6mm)あります。
断熱性能に加え防音効果も期待したい場合は、単板ガラスの厚み5mm以上を選んでください。
私の古い家には単板ガラスの厚み3mmを設置していますが、やや性能が劣ると感じます。
別の部屋の窓に複層ガラスを取付けているのですが、明らかに単板ガラスとの違いを実感できます。
YKKapプラマードUが「ガラスで快適性能に差が出ます。」とうたっているのは納得です。
内窓のガラス選びは、住んでいるお宅で実際に体感してみるのが一番です。
あなたのお宅の小さな窓で、一度試してみてください。
今回は、内窓の単板ガラスについて説明してきました。
内窓の複層ガラスは別名ペアガラスと言われるように、2枚のガラスが合わさってできています。
こちらの快適性能はさらにパワーアップしますので、次の記事で紹介したいと思います。