古い家の窓をDIYで内窓にリフォームしている、ブログ管理人の木葉らんです。
内窓に使われるガラスの種類は、その目的や要件によって異なりますが、一般的に以下のような種類があります。
内窓にするガラス選びで、単板ガラス・複層ガラス・Low-E複層ガラスが主に挙げられます。
複層ガラスという呼び方は聞き慣れない人もいると思いますが、同じような意味でペアガラスと呼んだりします。
ペアガラスと少し違う意味合いがあるのですが、どこが違うのでしょう?
ペアガラスとは厳密にいうとガラスが一対になっていることで、2枚のガラスの厚みが同等になっています。
一方複層ガラスは、2枚のガラスの厚みを敢えて変えて対になっていないものがあります。
またガラスの中間層を真空にしたりガスを注入することで、気密性を高めています。
ペアガラスに比べて複層ガラスのほうが断熱性や防音性が良い利点がありますが、ややコストが高くなります。
今回は、より効果の高い複層ガラスのタイプの紹介と快適性能について解説したいと思います。
別の記事で単板ガラスに関する内容をまとめたものがあります。
興味がありましたら、併せて参考にしてください。
複層ガラスの内窓
YKKapプラマードUの複層ガラスを探すと、色々なタイプがあります。
- 複層ガラス
- Low-E複層ガラス(断熱タイプ)
- Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)
- 【追加機能】安全合わせ複層ガラス/防災安全合わせ複層ガラス
- 【追加機能】格子入複層ガラス
- 【追加機能】ブラインド入り複層ガラス
- 【追加機能】強化複層ガラス
- 【追加機能】異厚複層ガラス
追加機能とは、複層ガラスを選択した上でのオプションのことです。
快適に過ごせる環境をつくるために、それぞれの特性を活かした複層ガラスが選べるので、期待した効果が得られます。
複層ガラスひとつ選ぶにも、こんなにあると迷ってしまいますが……
これから具体的に解説していきます。気になるものだけでもご覧ください。
1.複層ガラス
複層ガラスは、2枚のガラスで中空層をつくり、1枚のガラスよりも優れた断熱性能を発揮します。
空間層を真空にすることで、壁が1枚できます。
ガラスの種類を単板ガラスにするか複層ガラスにするか迷っているなら、当然複層ガラスを採用したほうが今よりずっと快適になります。
窓から逃げる暖房熱の量を減らし、節電にも貢献します。(断熱効果)
室外が寒くても、室内側に結露が発生しにくいガラスになります。(防露効果)
複層ガラス
複層ガラスは、2枚ガラスで中空層の壁をつくり、暖房効率や防露を高めるスタンダードガラスです。
2.Low-E複層ガラス(断熱タイプ)
スタンダードの複層ガラスに増して、熱の伝わりを抑えるLow-E複層ガラス(断熱タイプ)があります。
Low-E金属膜を室内側に追加することで機能をアップしています。
ポイントはこの金属膜が室内側にあること。
冬の寒い時期にせっかく暖めた部屋の熱が流出しないように、また、夏の涼しいエアコンの温度を逃がさないように、室内エネルギーを保ちます。
室内のエネルギーを逃しません。
Low-E複層ガラス(断熱タイプ)
Low-E複層ガラス(断熱タイプ)は、寒冷地の厳しい寒さの地域でおすすめのガラスです。室内のエネルギーが室外へ漏れるのを低減する働きを強化するのが、断熱タイプの特徴です。
3.Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)
こちらはLow-E複層ガラス(遮熱タイプ)です。
スタンダードの複層ガラスにLow-E金属膜を室外側に追加することで、機能をアップしています。
Low-E金属膜は、断熱タイプとは反対側の室外側にあります。
太陽の日射や照り返しなどの熱の流入を遮断することで、室内の暑さを抑えます。
屋外からの熱を侵入させないようにします。
Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)
Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)は、夏日の厳しい地域や西日対策におすすめのガラスです。太陽の放射熱を低減する働きを強化するのが、遮熱タイプの特徴です。
4.【追加機能】安全合わせ複層ガラス
安全合わせ複層ガラスは、ガラスとガラスの間に強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜を挟み込んでいます。
強風時や衝撃物による飛来物に、破壊されにくく飛散しにくい複層ガラスです。
車のガラスも、この合わせガラスが使われています。
また紫外線を約99%以上カットするので、肌の日焼けや家具の日焼けが気になる部屋にもおすすめです。
【追加機能】安全合わせ複層ガラス
安全合わせ複層ガラスは、割れても破片が飛散しにくく、防犯にも災害にも備えられる破壊されにくい複層ガラスです。
5.【追加機能】格子入複層ガラス
格子入複層ガラスは、複層ガラスの断熱性能だけでなく、窓のデザイン性の向上も両立させてくれます。
格子模様は和室だけでなく、洋風でモダンな雰囲気も造り出します。
ガラスとガラスの間の中間層に格子を組み込んでいるため、ホコリが入ることがなくお手入れの心配はありません。
おしゃれなデザインの格子模様は、住まいの外観に合わせて5タイプから選べます。
【追加機能】格子入複層ガラス
格子入複層ガラスは、窓性能を保ちつつデザイン性に優れたおしゃれな住まいを演出します。中間層に組み込まれた格子は、煩わしいホコリの掃除の必要がありません。
6.【追加機能】ブラインド入り複層ガラス
ブラインド入り複層ガラスは、ガラスとガラスの間の中間層にブラインドを組み込ませており、日射熱の侵入を軽減させてくれます。
複層ガラスの断熱性能に加え、内部のブラインドによる遮熱性能を両立します。
お手入れが面倒なブラインドがガラスの間にあるため、水廻りの浴室や油が跳ねる台所でも汚れる心配がありません。
カーテンが要らないのでスッキリします。
スラットの角度調整により、光のコントロールや外部からの視線を遮ることが可能です。
【追加機能】ブラインド入り複層ガラス
ブラインド入り複層ガラスは、断熱性能と遮熱性能を兼ね備えています。ガラスの中に組み込まれたブラインドの角度調整をすれば、自身でコントロールが可能です。
7.【追加機能】強化複層ガラス
強化複層ガラスは、同じ厚さの板ガラスに比べて、約3~5倍の耐風圧強度を持ち、衝撃強度にも優れたガラスです。
強度が強く割れにくいのですが、万が一割れた場合でも粒状になり、大けがを防ぐよう安全性に備えています。
透明タイプとプライバシーに配慮したミスト柄タイプの2種類から選べます。
ミスト柄タイプは、光はやわらかく採り入れながらも目隠し効果があり、ソフトな型模様のあるガラスです。
【追加機能】強化複層ガラス
強化複層ガラスは、約3~5倍の耐風圧強度を持ち割れた時の安全性に備えています。ただし、硬く鋭利なものからの衝撃に弱いです。
8.【追加機能】異厚複層ガラス
複層ガラスによる振動(コインシデンス効果)・共鳴は、同じ厚み同士のガラスを使っていることで起こる現象です。
音は振動するので、壁にぶつかって反響します。
防音目的のガラスを探しているなら、ガラスを異なる厚みにした異厚複層ガラスが有効です。
【関連記事】➜騒音は内窓で解決できる|防音効果のある異厚合わせガラスを選択しよう!
外からの騒音をカットするだけでなく、ペットの鳴き声や生活音などの音漏れを防ぎます。
【追加機能】異厚複層ガラス
異厚複層ガラスなら、迷惑音の悩みを解消できます。高厚の単板ガラスよりも一層快適に過ごすことができます。
複層ガラスの快適性能
下の表は、「外窓のみ」「外窓+内窓(単板ガラス)」「外窓+内窓(複層ガラス)」の快適性能の比較です。
※参照:マドリモ内窓プラマードU 商品カタログ P22
【快適性能】 | 紫外線カット率 | 【断熱】 熱貫流率 | 【断熱】 日射熱取得率 | 【防露】 結露発生の外気温 |
外窓のみ | 26.1% | 6.51w/㎡・K | 70% | 10℃ |
外窓+内窓:単板ガラス | ①45.4% ②99.9% | 3.23w/㎡・K | 58% | ガラス周辺部0℃ ガラス中央部-2℃ |
外窓+内窓:複層ガラス | 58.0% | 2.26w/㎡・K | 53% | ガラス周辺部-8℃ ガラス中央部-13℃ |
一般的な単板ガラス(アルミサッシ)の外窓のみが設置されている家の快適性能が、上段の数値になります。
そして同じ条件の外窓に、単板ガラスと複層ガラスの内窓を取付けた場合の数値が下に続いています。
3つの窓を比較した数値を見ていきましょう。
紫外線カット率(%)
紫外線カット率は、数値が小さいほど室内に紫外線が通過してしまいます。
内窓を単板ガラスにした場合、スタンダードな透明ガラスでは45.4%にとどまり、和紙調ガラスを採用すればほぼ(99.9%)紫外線をカット出来ます。
また、複層ガラスの透明ガラスでは58%まで紫外線カット率が上がります。
透明ガラス以外の、すりガラスや型ガラスを選択すれば効果が上がります。
断熱:熱貫流率(w/㎡・K)
熱貫流とは壁の両側に温度差がある場合に、高温から低温へ熱が流れる現象のことを言います。
熱貫流率は数値が低いほど熱が通りにくく高断熱であることを意味しており、内窓を取付ると断熱性能は高くなります。
熱貫流率 W/m²・K
壁の両側の温度差を1℃とした場合に1時間当たりに1m²を通過する熱量
内窓があるだけで厚い壁が出来上がるので、外窓だけに比べると単板ガラスでも複層ガラスでも断熱性能が高まります。
開口部に設置したシャッターや雨戸を利用すれば、「外窓+単板ガラス」は3.23➜2.84に、「外窓+複層ガラス」は2.26➜2.06とさらに減少します。
遮熱:日射熱取得率(%)
日射熱はガラスを通過して室内に入射した日射熱が、室内側へ流入する割合のことを言います。
数値が大きくなると日射熱が室内に通過するということなので、遮熱ができません。
遮熱に関しては、内窓以外にもシェードやすだれなどと合わせれば、効果が高まります。
防露:結露発生の外気温
外窓のみだと、外気温10℃で窓まわりに結露が発生してしまいます。
窓まわりがビチョビチョになって、木枠が腐食したりカビの発生につながります。
窓拭き掃除を頻繁にしないといけないので、とても面倒です。
「外窓+複層ガラス」では外気温がガラス周辺部-8℃・ガラス中央部-13℃になると結露が発生するということなので、北日本以外では十分に効果を発揮します。
寒冷地の寒さでは内窓の単板ガラスでは物足りず、複層ガラス以上が必須条件になります。
ただし、結露が発生する条件は外気温だけではなくて、室内外の温度差が大きくなり湿度も高くなることが原因です。
「結露が出来るしくみ」を知れば納得できます。
【関連記事】➜冬の結露は断熱だけではダメ!内窓断熱と湿度調整が快適な家の決め手
まとめ
複層ガラスには、いろいろな追加機能(オプション)があります。
窓まわりの悩みに応じて、それぞれの特性を活かした複層ガラスを選んでください。
快適性能の比較データで分かる通り、単板ガラスよりも性能は確実にアップします。
私の自宅でも単板ガラスと複層ガラスの内窓をつけていますが、その性能の差を肌で感じています。
費用は少し高くなってしまうのですが……
やっぱり次も内窓をつけるなら『複層ガラスを選びたい』と思っています。
ガラス選びで迷いがある場合は、ぜひ参考にしてください。
またYKKapプラマードUのショールームで、実際に体験してみるのもいいと思いますよ。
最寄りのショールームに足を運んで、見学してみてください。
今回は、内窓の複層ガラスについて説明してきました。
次回はLow-E複層ガラスについて、もう少し掘り下げて解説したいと思います。